プリキュアの好きな回を振り返って感想を書いていこうシリーズ第2弾。
今回は「Go!プリンセスプリキュア」より第39話、
「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」
をチョイス。私のお知り合いがGoプリを一気見しているということもあり、ここで1度文章にしておきたいなという所存です。
さてこのお話、素晴らしいストーリーに加えて演出、挿入歌、バトル面も充実しておりあらゆる面で完成度の高い回であると思っています。
今回はその中でも中心テーマである「はるかの夢」に絞って感想・考察を書いていきたいかなと思います。堅い上に長いです。でも読んで…
おしながき
あらすじ
ことの始まりは1話前から。ディスダークの幹部クローズが扮する男子生徒黒須の作戦によってプリキュアたちは分断され、はるかは一人ぼっちになってしまいました。
一人になったはるかに攻撃を仕掛けるクローズ。「夢はお前を一人にする」と精神攻撃も加えながらキュアフローラに変身したはるかを追い詰めます。
それでも懸命に戦うフローラ。しかし、崖っぷちのフローラを突き落としたのはクローズではなく、記憶を失ったホープキングダム王子、カナタでした。
「プリンセスになんてなるな!」
記憶を失ったために、はるかが傷ついてまで夢に執着する理由が分からないカナタ。そんな彼が、目の前で戦う子に傷ついてほしくないという一心で発した言葉。しかしそれは、在りし日のカナタとの思い出を胸に夢を育んできたはるかにとって、何よりも辛い言葉なのでした。
失意のはるかは、立ち直って夢の力を取り戻すことが出来るのでしょうか。
夢の原点
カナタからの思わぬ一言によって、塞ぎ込んでしまったはるか。
これまではるかは、カナタから貰った言葉を胸に頑張ってきました。記憶を失っているとはいえ、その本人に夢を否定されることはとても辛いことでしょう。
「カナタ…わたし、プリンセスになっちゃいけないの?」
はるかは問います。
ですが、ここで考えなくてはいけないことがあります。それは、
誰かに否定されたから夢を諦めるのか?
ということです。それがたとえ…夢を応援してくれた人の言葉であったとしても。
「プリンセスになっちゃいけないの?」という言葉からも、自分の夢の行く末を、他人の判断に委ねてしまっていることが分かります。
街を覆うイバラ。ですが…戦おうとしても、夢の力を失っているはるかは変身が出来ません。
イバラに足を取られ、地に伏したはるか。
「どうしてこんなことになっちゃったんだろう…」
まるで、プリンセスという夢を抱いたことが今の事態を招いてしまったかと言わんばかり。そんなはるかによぎったのは、初めてカナタと出会ったときの記憶でした。
夢を応援してもらったときの記憶。しかしその記憶さえも今ははるかを否定してくる。再び沈むはるか。
しかし、その記憶の奥に、さらに昔の自分を見つけるのです。
「わたし、なんで…プリンセスになりたいんだっけ…?」
「わたし、プリンセスになりたい… キラキラして、かわいいから…」
それは、初めて「プリンセスになる夢」を抱いたときの自分。
ここではるかは、夢の原点はカナタとの出会いではなく、自分の中にあったことを思い出すんですよね。
はじまりの日にパフとアロマに出会い、プリンセスプリキュアになり、カナタと再会し……
そんな奇跡のような、夢に近づいたかのような出来事の連続が、一方では夢の原点を忘れさせてしまったのかもしれません。
プリンセスになる夢を志してから得た、友人や経験。カナタとの出会いだって、全ては幼いはるかが描いた「プリンセスになりたい」という夢から始まっていたのです。誰に言われたわけでもない、自分の夢。
「思い出した?」
復活のフローラ
このお話は、カナタに依存していた”プリンセスになる”という夢を、自分自身の夢であると認識する成長の儀式なんだと思います。
はるかは誰かに頼ることなく、自分との対話の中だけでそれを見つけます。これは、人との助け合いを重視するプリキュアではとても珍しいことですが、自分の夢は自分のものであるという答えは、誰かの助けをもらっては得られないモノなんですよね。
自分がはるかの夢を傷つけてしまった、と懺悔するカナタ。でも、本当はそうじゃないんです。
はるかの夢は、彼女自身が願って、育んできた夢。誰かに否定されたから、なくしてしまうようなものではなかったはずなんです。
「たとえ、カナタにやめろって言われても、わたしはプリンセスを目指すよ。」
カナタに否定され、夢を失いかけた冒頭との対比。夢…”自分”の夢を取り戻した瞬間といえるでしょう。
かつての自分が夢を志したからこそ今の彼女があり、ゆえに夢は彼女のすべて。
だから最後にはるかは、夢の原点である自分に感謝します。
そして……
咲き誇る、花のプリンセス。キュアフローラの復活です。
自分の夢
再びフローラはクローズと対峙。
クローズはまたも、「夢はまたお前を追い詰める」と説きます。
それに対し、「それでもいい!」
と返すフローラ。
「自分で決めた夢だもん!痛いのも、苦しいのも、全部受け止めて…私はプリンセスを目指す!」
この回を象徴するようなセリフです。
先ほど述べた通り、このお話は「他人に依存してしまっていた夢を、自分の夢であると認識する」過程となっています。
だからこそ、
夢にまつわる責任…痛みも苦しみも、全部自分で受け止める。
そしてもう、プリンセスを目指すことに対してブレない。
そんなはるかの決意がこもった言葉だったと思います。
自分の夢は自分のもの。当たり前のようで失念しがちなことかもしれませんね。そして夢を目指すことによって得られるものは喜びだけではない。でも、それらすべてを自分で受け止めなくてはいけない。なかなか強いメッセージが、39話には込められていたような気がします。
最後に。フローラが一人で立ち上がったこのお話は決して、仲間との助け合いを否定するものではありません。それはフローラ自身も語っています(みんなが自分を信じて待ってくれていると確信していた)し、上のシーンで両手にマーメイドとトゥインクルのロッドを持っていることからも表現できているかなと思います。彼女たちはときに助け合いながらも、自分の目指す夢には自分で責任を持ち、それぞれの道を進んでいくんだと、そう思います。