現在公開中の映画、「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の感想記事です。
あり得ないほどネタバレを含むので、未試聴の方は必ずブラウザバック。
ネタバレ気にしない?オチだけ知りたい?そんなもったいないこと言いなさんな。悪いことは言わないから劇場で観て来い話はそれからや。
それではここから感想です。もう一度言うけどネタバレ注意。
おしながき
雑感
率直に言えば、非常に面白かったです。ここ5年くらいでは一番かな。
今回の敵は顔の見えない爆弾魔プラーミャ。原作で多くの被害を出した犯人を爆殺するという大胆な導入から始まり、中盤は身内が次々狙われる緊張感があって、最後は犯人との交戦を含むアクション。初期の名作に通じる面白さが本作にはあったと思います。
その中でキャラクターたちが丁度よく(後で説明)活躍していて、登場人物の多さの割にバランスよくまとまっていたんじゃないかなと。
「強い犯人」が見れたのが満足
犯人についてはまあそこでしょうねという感じ。コナンをはじめ、推理モノを見慣れている人ならすぐに感づく位置。途中ミスリードがあったけど、タイトルからしてもそりゃ花嫁の方ですよね。
私は未登場の人物から呼び出しの電話を受けたところで確信しました。あれ、推理モノで自演じゃなかったことがない。なお、右肩が上がらない描写には気づかなかった模様。アニメの長編と違って映画は一気に見てしまうものなので、犯人は分かりやすくても良いと思ってます。誰やねんコイツになるより、バレバレでも印象の強いキャラの方がずーっとマシ。
それよりも私は、犯人が強くてしぶとかったのが凄く満足でして。豹変からのワイヤーアクションと銃乱射、安室と競り合う格闘、撃墜後も往生際悪く渋谷を破壊しようとする執念。映画の犯人として100点だったんじゃないでしょうか。
近年の犯人は強さあるいはしぶとさに欠けていて、ラストのアクションに繋がる部分も犯人の意志というより結果としての事故が多かった。コナンたちは「犯人を倒す」というより「事故の後始末」をしていて、そこが個人的に盛り上がれない部分だったんです。まあ個人の好みなんですけどね。
「徹頭徹尾犯人が悪くて、それを止める」という原点回帰のような構図が、この映画で一番好きだったポイントですね。
過去と現在を繋ぐアクション
そしてラストの展開。渋谷を満たす起爆剤を、巨大サッカーボールでせき止めるという、いつにも増してそんなことホンマに出来るんかいというアクションでした。絵面的にはやや地味だったかな。まあ「君がいれば」が流れたから感動させられちゃったけど。この曲聴いたらそうなる身体にされてるので仕方ない。ボーカル版だったのも嬉しいポイント。
話を戻すと、ここには視聴者も巻き込んだ仕掛けがあって、そこが上手いと思ったんですよね。まず、巨大サッカーボールを見れば松田の使ったガムのトリックと同じであることはすぐ分かりますよね。ここで視聴者にあえて気づかせつつ、後出しでコナンによって萩原に着想を得たものだったという情報をぶつけられるわけですよ。そして、それを聞いた安室の反応がまた良いと。コナン、松田、萩原、安室(降谷)、4人が繋げる過去と現在。ストーリーと絡めたラストアクションになっていて、画面の地味さを補って余りある仕掛けだったんじゃないかと。
色々ちょうどいい
近年のコナン映画は、多くのキャラクターを出さざるをえなくなっている印象があります。
それは複雑化する原作ストーリーによるものでもあり、キャラ人気によるものでもある。キャラ推し路線は別に良いんですけど、年一の映画で色んなキャラに焦点を当てるには限界があるんですよね。
今回もレギュラーに加えて高木刑事・佐藤刑事ほか警察陣営、安室さん(降谷)、さらには警察学校の同期、途中から出てきた大量のレジスタンス組織と盛りだくさんではありました。しかし、それぞれにちょうどいい役割(活躍の場)が与えられていてバランスが取れていたのが本作の面白さの要因かなと。
最強の名探偵毛利小五郎が事故によって封印。同時に蘭も看病役で本筋から除外。「終盤にコナン×蘭展開を入れるため変な行動をさせる」ことが無くなっていました。いや、別に蘭を助ける展開が嫌いとかじゃないんですけど、他にメインがあるのにねじ込まなくてもいいよねってことです。今のキャラ推し路線なら尚更。4年に1回くらいで良い。
少年探偵団もラストの展開に関わりはしたものの、どちらかといえば彼ら自身の活躍というよりレジスタンスを活かすための布石として使われていました。大人たちが復讐のためでなくみんなを守るために手を貸してくれる展開の説得力を増すもので、やたら多かった人員もこのためだったんだとなるわけですね。
出てくるとコナンの活躍を食う男その2安室も出番が制限。これが逆に上手くハマっていて、過去のストーリーを話す理由を作りつつ、終盤の登場にカタルシスを生み出していました。ヘリコプターに乗ってくるのが安室さんだと分かり切っていたのにめちゃくちゃカッコよかったですよ。
警察学校組は安室を除いて故人ということもあって、キャラの濃さの割に本筋を邪魔していなかったと思います。逆に、メインの1つだった高木刑事と佐藤刑事のパートは犯人との戦いにはあまり噛み合ってなかった感がありました(これは私の原作履修が甘いせいだと思います)。
強いて言うなら
そんなこんなで、私の中では歴代でもかなり面白いと感じた「ハロウィンの花嫁」なのですが、強いて言うならコナンの強いセリフがなかったかなと思いました。これは犯人のバックボーンが薄かったことにあるのかなと思います。プラーミャの底知れぬ不気味さが本作の雰囲気づくりに一躍買っていたのは間違いないんですが、それゆえ推理後も説得の余地がなかったんですね。
なので今後のコナン映画にはそこを期待したいところ。予告を見るに来年は黒の組織関係。個人的に黒の組織映画はゲストの組織メンバーが絶対死ぬのが見えちゃう上に縦軸が進むわけでもないのであまり好きではないですが、見てもいないのにあれこれ言うべきではないので手のひら返しさせてもらえることを楽しみに来年を待ちましょう。
それではこの辺で。
安室と降谷、ファン界隈ではどっちの呼び方が主流なんですか?